「階段は疲れる…やはりエレベーターを使おう。」
エレベーターには二人の方がすでに乗っている。私は軽く会釈して、彼らの空間に入り込む。さて、このとき、私たち三人のポジションはどうなっているのだろうか。三人とも横一列に並んでいるのだろうか。あるいは、私が乗り込んだ瞬間、三人とも縦一列に並んでエグザイルのダンスでも始めようとするのだろうか。次の階で乗客が乗ろうとドアが開いた瞬間。もうそれはありったけの満面の笑みを浮かべて。腕がちぎれそうになるほどブンブンとふりまわす。ない。もちろんそのようなことはない。私たちは、ほとんどの場合、エレベーター内が三人になれば、自ずと正三角形を作る。四人の場合は正方形だ。私たちは幾何学的にベストポジションを形成する。タイトルにある「サイコロの目」とは私たちを頭上から見たことを表す。つまり、エレベーター内の私たちは、まるでサイコロの目のようであるということだ。ところで、いまあなたは「なぜこの記事を読んでいるのか。」なんとなく…。そのような返答がありそうだ。では、こうしよう。あなたは「なぜその本を購入したのか。」私は考えてみたことはなかった。あなたは考えてみたことはあるだろうか。
【本の概要】
「人が物を買うときの根拠は、実はあやふやである」とは、CMプランナーとして名を馳せた佐藤雅彦氏の言葉。
また、ハーバード大学のザルトマン名誉教授(脳科学)も長年の研究の末、「買い物をしている当人するその行動を裏付ける動機をわかっていない」という結論(?)に達しています。同じく脳科学者の茂木健一郎氏にいたっては、「購入することに理由は存在しない。すべての理由は後付けにすぎない」とまで断言。つまり、既存のオーソドックスな広告の効果は証明されていないどころか、科学的には効果を疑われているのです。本書は、ホイチョイプロダクションズのブレーンをつとめる著者「指南役」が、まさに「広告業界のパンドラの箱」を開けてしまう一冊。多くの人の記憶に残っている広告を数多く例にとりながら、わかりやすく広告やマーケティングの種明かしをします。人がものを買うことの不可思議さを解き明かしながら、「販促・宣伝・マーケティング」などビジネスの根本の仕組みや人に教えたくなるようなネタや薀蓄を散りばめていく、これまでにないビジネスエンターテイメント。(アマゾン内容紹介より)
【重要ポイント】
●1.シュガーマンの「一貫性の原理」=「ついで買い」
ひとたび、購買決定をしたお客は、「ついで買い」に走りやすいということだ。(中略)つまり、0を1に変えることは大変だけど、1を2に変えることはずっと楽なのだ。(p18)
「セールスマンは、最初は最も安いパッケージを薦めるべきである。それで相手が購入をきめたら、追加オプションを薦める。私の経験上、5割以上はそれに応じる」(p19)
客は99円の魔法に引かれて店に入るが、店内には199円や499円(99円ショップだとこの値付けができる)の商品もある。だが、魔法にかかった客は歯止めが利かない。最終的に彼は699円の工具セットを購入し、意気揚々と店を引き上げる。そして、魔法から覚める。(p21)
●2.手前から2番目
基本的に、人は端から2番目が好きだってこと。それは公衆トイレに限らず、喫茶店の座席やラーメン屋のカウンターでも同じ。(中略)トイレでどちらかを使うかで迷ったら、人は入り口に近いほうを選ぶという経験則。つまり「間に合わない」という最悪の事態を避けるために、自ずと身についた経験則である。以上の2つの理由を組み合わせると――ほら、もうおわかりでしょ。(p36)
●3.魔法のヴェールとわずか3秒のリーチインの法則
魔法のヴェール。それは、包んだ対象物を光り輝かせる、文字通り魔法の布。目には見えない。意図してかぶせることもできない。気がついたら、まとっているもの。(p63)
人はコンビニのリーチイン(冷蔵ケース)の前に立つと、わずか3秒で商品を選んでいるという。しかも、選んだ理由というのが極めてあやふや。ほとんどの人がただなんとなく商品を選んでいるらしい。(p67)
僕らは皆、無意識のうちに魔法のヴェールをまとった商品を嗅ぎ取る特殊な能力を身につけているってこと。(p69)
●4.私たちは変わらないCMを信用しやすい
なぜなら僕らは基本、「広告」を信用してないから。微笑まれても、すぐにその裏にビジネスの匂いを感じとってしまうから。でも、そんなビジネスライクな広告の世界にあっても「何十年と変わらないCM」は、ちょっと信用できる。(p85)
長年慣れ親しんだ広告が、ある日突然変わる理由。往々にしてそれは、宣伝部の担当者が変わったからである。(p80)
現代広告の父、オグルビーはこう警告する。「広告は常に変えようとする攻撃に晒されている」(p82)
●5.最初の25%の法則
真のブームは、最初にファンになった25%の人たちで、実質打ち止めになっているということ。それ以降は、後出しじゃんけん。だから皆。最初の25%になろうとしのぎを削るのだ。(p126)
●6.可愛い芸名よりもダサい本名に惹かれる理由
ダサい名前なら、本人にかかるフィルターは、極めて少ないと想像できるから。最も変えやすい名前ですらそうなのだから、いわんやという具合。今、見ている彼女が、そののままの本人。(中略)素のままで光る本物を見たい。本物が見られれば、少々名前がダサくたって関係ない。いや、むしろダサい名前ほど、素の本人であるという証になる。(p140)
●7.あなたがその本を買った理由
一見、なんてことない行動だけど、この中には実に14もの「買う理由」が潜んでいる。そう、何気ない日常の中に、買う理由――神の見えざる手は潜んでいる。(p219)
【感想】
満足度:☆☆☆ 付箋数:21
タイトル:キミがこの本を買ったワケ
著者:指南役
出版社:扶桑社
ページ数:221
【編集後記】
二回目の投稿である。アイキャッチ画像に関して、前回よりか方向性が一致していると思う。感想に関しては、とりあえず、頭にあるものをはきだしている感覚に近い。だから、上手くまとまっていないかもしれない。しかし、自分の言葉ではなく、本からの引用文だけでも文字におこす行為によって、頭にインプットされていく感覚がある。