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「あ~、それ、〇〇の法則でしょ?」

 

今回、紹介する本の著者と会話をするとしたら、おそらく会話の大半が「法則」と置き換えられ、丁寧に説明してもらえそうだ。それほど、「法則」に詳しい方である。私も、「法則」に関する本は好きだ。「法則」という言葉には人を惹きつける何かがある。「~の方法」も同様。でも、そんなことはどうでもいい。いや、どうでもよくはないが・・・。とにかく、今回はそんな「法則」に関する記事だ。ぜひ、飲み会のネタにでもしてほしい。

 

 

【本の概要】

 

 マーフィーの法則、パーキンソンの法則、80対20の法則…など、世の中には人や組織の矛盾や悲哀を、ユーモアたっぷりに表現した法則がたくさんある。本書は、国際ビジネス・コーディネーターとしても活躍する著者が、特に人生に役立つ「経験則」を厳選し、それらが生まれた背景やエピソードなどを交えながら綴った読み物。商談や飲み会のネタとしても使える、目からウロコの70選。(アマゾン内容より引用)

 

 

【重要ポイント】

 

 

1.「カモは毎分生まれる」=バーナムの法則

「カモは毎分生まれる(There's a sucker born every minute.)」(p60)

◆アメリカで19世紀に活躍した興行師、フィニアス・テイラー・バーナムの言葉だ。バーナム氏は、奇想天外な演出を得意とし、多くの人々を惹きつけたことから「宣伝のシェイクスピア」と称された。「カモは毎分生まれる」という名言には、明らかにあやしい話であるにもかかわらず、実に多くの人たちが詐欺の被害にあっていることが背景としてある。人々を楽しめるためだとしながらも、自分が打ち出したアイデアが多くの人を絶え間なく惹きつけた経験から、人はだまされやすいと考え、この名言を唱えたらしい。

◆明らかにあやしい話であるにもかかわらず、実に多くの人たちが詐欺の被害にあっている・・・これを証明する、うってつけの記事を見つけた。「一億円あげます」詐欺。あなたもYouTubeの動画コメント欄を見ていて、「・・・ウザい。引っかかる奴いるのかよ・・・」と思ったことがあるのでは?結論は、「引っかかる奴はいる」ということだ。サイトに誘導し、利用料を取るのが目的だったらしく、2010年~12年の間に全国約2000人から、約1億9000万円をだまし取ったようだ。さすがのバーナム氏も驚くのではないだろうか。詳細は「1億円あげます」偽告知で誘導 サイト詐欺、被害2千人かの外部リンクへ。

2.必要以上に前提を仮定すべきでない=オッカムの剃刀の法則

 別名、「思考節約の法則」や「ケチの原理」とも呼ばれているように、彼は、「ある物事を説明するためには、必要以上の前提を仮定すべきでない」と主張したのだ。(p102)

◆中世イギリスの神学者、ウィリアム・オッカムが提唱した。つまり、「ある現象をうまく説明するには、同レベルの仮説や理論の中で、最も単純なものを選ぶべきである」とし、シンプルにすることの重要性を強調したのである、と著者は言う。仮定は、複雑なものよりもシンプルなほうを選んだほうが、その後の理論を展開しやすくなるということだ。

◆「Simple is best.」ということを理解していても、私は複雑に物事を考えてしまうことが多い。なぜなら、私は複雑に物事を考えることで、あらゆるシチュエーションを想定することができ、対処できると思っているからだ。少々、話の論点がズレているが、例えば、サッカーの練習を一人でする際に必ず意識していることがある。それは、身近な人物を頭の中で想像し、自らの対戦相手とすることである。特に一対一の練習では効果的だ。もちろん相手は現実にいない。しかし、自分がこのようにボールを動かし、視線をこっちにむけ、重心をすこしこちらに傾ければ、相手(想像)はこうくるだろうから、ここでこうする!などと、色々なシチュエーションを想定し、練習することで、試合での展開を容易にすすめることができる。なぜなら、試合では事前に構築していたパターンをシチュエーションごとに瞬時に当てはめていけば良いだけだからだ。

3.人は自分の都合のいいほうに考える=認知的不協和音の法則

 「人は自分の信念や行動に矛盾や不調和を感じると、自分に都合のいいように考えを変える」(p143)

◆アメリカの社会心理学者、レオン・フェスティンガーが提唱した法則である。著者はタバコを例にとり、こう説明している。喫煙者はタバコを吸うと「肺がんになりやすい」ということを知っている。長生きするには禁煙することが一番である。だが、「喫煙者でも長寿の人がいる」とか「交通事故の死亡事故のほうがもっと高い」と独りよがりに考えて、肺がんで死亡する恐怖から逃れようとするのだ、と。これは、タバコを吸う吸わないに限らず、日常生活で誰しも当てはまることだと思われる。

4.物事がうまく運んでいるなら、いらぬ手を加えるな=ランスの法則

「壊れていないなら直すな(If it ain't broke don't fix it.)」(p153)

◆バート・ランスが唱えたこの法則は、もともと政府が問題のある分野に資金を向けず、問題のないところにばかり投資していることを皮肉った言葉だった。その後、この法則は、日常のシステムや方法が順調に運んで効果を発揮しているなら、あえて改良や変更の手を加える必要はないのだ、という忠告となったらしい。

◆これは、難しいことだ。なぜなら、クリステンセンの法則(現状維持はダメだということ。この法則も本書に掲載されている)を重視している場合、改良や変更を行おうとするからだ。正しい法則の解釈とは異なるが、私は、クリステンセンの法則寄りだ。とくにこの「Output読書」サイトではそれが顕著にあらわれている。改良や変更をと通して、他の書評サイトとは違うコンテンツを作り上げたいと思っているからだ。何にせよ、改良や変更を通して、私たちは進化していくべきであり、時代に柔軟対応していける人財・企業になる努力をする必要がある。

 

5.中古車市場ほど、欠陥車が出回る=アカロフの法則

 この法則は「売り手が買い手よりも情報を多く持っている場合に起こる不均衡」を意味している。(p193)

◆アメリカの経済学者ジョージ・アカロフは、「中古車市場で欠陥車がはびこるのは、品質の良い車を持っている者が、自分の車を中古車市場に売りに出さないからだ」とし、その理由を、商品品質に不確定要素がある場合、売り手(中古車ディーラー)が買い手よりも、その商品について情報量を多く持っているからだとした。つまり、買い手が良い品質の商品(車)を手に入れることができないのは、そもそも良い品質の商品が中古車市場に出回っていないからである。中古車市場の相場を知る買取手はそれ相応の相場で買取金額を掲示するも、売り手(良い車の持ち主)はそれ(良い車)に相応する価値で買い取ってもらえないため結局使い続け、中古車市場に流れないのだ。

◆ちなみこの法則は一般的に「レモンの法則」と呼ばれるらしい。アメリカ・スラングで「レモン」は「不良品」や「欠陥品」を意味する。アメリカで「レモン」とあまり言わないほうが良いのだろうか。変な誤解をされるかもしれないし。あなたがもし、アメリカに住んでいたり、アメリカ・スラングに詳しいと自信がある場合、ぜひ教えていただきたい。

6.自己満足に陥ると、世の流れに乗り遅れる=茹でガエルの法則

 「茹でガエル(Boiled Frog)の法則」は、カエルを生きたまま、ゆっくり茹でる話に基づいている。(p197)

◆19世紀に何人かの西欧の科学者によって証明されたとされている。「重大な変化が周りで徐々に生じているにもかかわらず、人や組織がそれに対応しないため、思わぬ結果をもたらす」という比喩は、このカエルの話からだ。どのような話かというと、カエルを沸騰した湯の中に入れると、すぐ飛び出すが、冷水に入れて徐々に温められると、危険性を感知できず、茹でられて死んでしまうという話である。上記の画像もそうだが、「しっかりしろよ・・・」と言いたくなる。

  

7.品揃えの少ないほうが、売り上げが多い=アイエンガー商品選択の法則

誰でも商品を選ぶ際に、その商品の種類が多ければ多いほど選択肢が増えるので、購買意欲を掻き立てられ、売り上げが上がるものと考えがちである。ところが、そうではないのだ。「品揃えの少ないほうが、圧倒的に売り上げが多い」のである。(p242)

◆コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授は「ジャムの研究」という実験を通して実証している。24種類のジャムと6種類のジャムを並べた場合の売り上げを比較した。結果はなんと6種類のジャムが10倍超の割合で売り上げが多かったらしい。むやみに商品を増やし、並べるより、商品を絞って並べれば売れ筋とそうでない商品が判然としてくるようだ。

◆地元に昔からある人気ラーメン屋と最近できたラーメン屋がある。前者のラーメン屋は券売機に「ラーメン並・中・大」のボタンしかない。あとはご飯とトッピングだけだ。一方、後者のラーメン屋には、出来たばかりの当初は3種類ぐらいしかなかったが、久しぶりに食べに行ったら8種類ぐらいに増えていた。どのくらい売れているのかアルバイトの方に尋ねたところ、「全然売れていないんですよ。お客さんが迷ってしまうとボクは思うんすよねぇ・・」と言っていた。本で新たな知識を得ると、これまで気にもしなかった事が急に意識され、経験とマッチすることがある。このような快感を味わえるのも読書の醍醐味でもある。

 

 

 

【感想】

 

著者は、「法則」に興味を持ち、たくさんの「法則」の中から70個の「法則」を厳選している。「Output読書」サイトではわずか7個の「法則」しか紹介していない。残りの63個の「法則」はあなた自身で確認してもらいたい。「~の法則」と言われるものはいったいどれほどあるのだろう。ほとんどが、名前は違うがだいたい同じ内容の「法則」が多いように思うのは私だけだろうか。人は、自分で新しい「造語」や「法則」をつけたがり、流行らしたい欲求があるように思われる。私にも似たような経験がある。自分が考えた遊びやギャグ、ウケる話が「人から人へ」と伝わり、同じような空間が生まれていると分かると嬉しいものだ。少なからず、あなたにもあるのではないだろうか?

◆「Output読書」サイトでこのような類の本、要するに、「70選」と言われるような本の場合、どこを紹介しようか困ってしまう。基本的には、自分が知らない事+あなたもおそらく知らないような事、この二つを意識しながら選んでいる。どうだろう。今回紹介した「法則」。あなたはもうとっくに頭の中に入っていた?

 

 

必ず役立つ! 「○○(マルマル)の法則」事典 (PHP文庫)

満足度:☆☆☆ 付箋数:26

 

 


タイトル: 必ず役立つ!「〇〇の法則」事典

著者: 烏賀陽 正弘(うがや まさひろ)

出版社: PHP研究所

ページ数: 256

 

 

【編集後記】

 

 文庫本は、やはり読みやすく、時間がかからない。そのためか、パラパラと読んでしまいがちである。大切なメッセージはないか、しっかりと意識して読まなければならない。文庫本ならば、通勤の電車の中、携帯電話の画面を見るより目に優しいだろうし、無駄な電池の消耗も抑えることができる。試しに「通勤読書デビュー」をしてみてはいかがだろうか?