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「QPS・・・QPS・・・・?」

 「QPS」とは、品質(Quality)、価格(Price)、サービス・その他の要素(Service)のことである。著者は、お客さまがそれらを比較検討しながら最終的にどれを購入するか決めている、と説明する。たしかに、私たちは、買いたいものがある場合、とにかく比較をする。それが、大きな買い物であればあるほど。会社の経営者もたいへんだ。だから、こんなにも経営に関する本がたくさんあるのだろうか。今回は、あのドラッカーに関する本である。あなたもご存知なはず。

【本の概要】

 

20年以上もドラッカーの本を読み続けている人気コンサルタントが、ドラッカーが『マネジメント [エッセンシャル版]』のなかでいちばん読者に伝えたかったことは何かを、やさしく解説。あわせて、洋の東西を問わず、成功する経営に共通する原理原則を語る。(アマゾン内容紹介より)

 

【重要ポイント】

 

  • 1.企業の使命は「社会が関心をもっていること」をまっとうすること

 

内部の視点からモノを見るのではなく、あくまでも、視点は外部から。外部に目を向け、社会が関心を持っている三つの役割をまっとうすることが、まずもって大切なのだと私は解釈しています。(p22)

◆ドラッカーは以下の三つの役割を「マネジメント」の定義とする。

①自らの組織に特有の使命を果たす。

②仕事を通じて働く人たちを生かす。

③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。

これこそがドラッカーの「マネジメント」の本質である。この三つの役割をまっとうしなければ企業は存続できない。そう、著者は解釈する。①は「あの会社にしかできないサービスだ」と思われること。②は会社が従業員に「働く幸せ」と「経済的な幸せ」を与えること。③は社会に与える害悪の対応法、税金を支払ったりすること。

◆どれも当たり前の考え方だと思うが、それが一番難しい。なぜなら、①はすぐに他の企業にマネをされ、②は両方を与える企業が多くない。そして、③はパナソニック(温風ファンヒーター事故対応)のような迅速な対応が簡単に出来ないものだからだ。だからこそ、ドラッカーはこの外部の視点をとても大切にしているのではないか。

  • 2.事業の三つの定義とは「市場」「目的」「強み」

 

ビジョンや理念を前提としながら、外部環境と内部環境を正確に分析する。これが、事業を定義することだと思っています。(p65)

◆ドラッカーは以下の三つの定義を外部の視点のヒントとする

①環境としての市場である。顧客や競争相手の価値観と行動である。

②自らの目的、使命である。

③自らの強みと弱みである。

①は外部環境、つまり、企業でコントロールできないことすべてである。競争環境、人口動態の変化、技術革新、法制度の変更、マクロ経済。これらの「外部環境分析」が大切であるとする。②は存在意義であり、経営者がお客様のため、社会のためという高い志を社員に浸透させること。③は自社にしかできない商品やサービスを提供できないか考えることであるとする。

◆「お客さまを増やす」という目的ではない。良い商品やサービスの結果として「お客さまが増える」ことが大切であるとドラッカーは考える。これは、ブログやサイト運営にも同じことが言える。アクセス(お客さま)を増やすためなら、むりやりSNSを使えばいい。ツイッターを使えば簡単に増やすことはできるはずだ。しかし、それは一時的にすぎない。なぜなら、良いコンテンツ(良い商品やサービス)がなければリピートされないからである。

  • 3.「何をやるべきか、何をやめるべきか」

 

 経営者は、現在だけでなく、企業の未来についても責任を負わなければならないのです。(p125)

◆外部の視点を持つことができれば、自社の強みがすでに通用しなくなっていることに気づく。その時点でお客さまから求められているものではなくなっているのだ。「資源の最適配分」を行うとき、社員から反対される場合もある。このとき、内部の視点では、会社のため、社員のためと内部思考になりやすい。それでは、お客さまのためにはならない。やはり、外部の視点がお客さま、社会のためなのである。

  • 4.目標設定においてもマーケティングとイノベーションが大事

 

 なぜなら、顧客が代価を支払うのは、この二つの分野における成果と貢献に対してだからである。(p142)

◆ここでも、著者は「商品やサービスの質」を重視することを強調している。そして、いくら売り上げられるか、利益を出せるかについて具体的な数字に落とし込んでいく。これが正しい目標設定の考え方だとし、数字はあくまでもお客さまや社会の「評価」とする。

◆マーケティングの目標=「集中の目標」「市場地位の目標」+七つの目標。イノベーションの目標=三つの目標。約30ページにもわたり、具体的な例をあげながら説明している。なかでも、心にのこったのは「オンリーワンではなくナンバーワンを目指す」ことである。某有名歌手グループの歌が私たちに与えた影響は大きいのかもしれない。いま、私たちに足りないものはナンバーワンを目指す心もちではないか。ライバルがいてこそお互いに成長しあえるのだ。

  • 5.目標は、バランスをとらなければならない

 

1.利益とのバランス

2.近い将来と遠い将来とのバランス

3.他の目標とのバランスすなわち目標間のトレードオフ関係である(p182)

◆1.「背伸びすれば届く、頑張れば届く」というところに設定すること。2.現在と未来のバランスをとること。3.優先順位をつけ、いま、なにをやるべきか明確にすること。これらのほかにも大切な目標を本書で説明している。この目標のバランスの難しさはあなたにも経験があるのではないだろうか。目標を立てているときは、とてもやる気に満ちている。そのため、欲張りすぎるのである。

結局、なにが一番大切かというと、いわずもがな、目標を実行することである。また、目標を実行するということは、継続することである。私も継続することを大切にしている。

  • 6.仕事を生産的なものにする四つのポイント

 

1.分析である。

2.統合である。

3.管理である。

4.道具である。(p202)

◆これらをわかりやすく説明すると、仕事の作業内容を洗い出し、手順を決め、管理して、道具の使い方を知る。これが、著者の解釈である。続いて、「労働の五つの次元」ということも説明している。これら五つの次元があるということを念頭におき、「労働」を定義することが、人が生き生きと働き、自己実現を図ることにつながる。本書を読んでいると、著者はドラッカーの言葉をインプットして、私たちがインプットしやすいように、説明していることがわかる。それが、ドラッカー本人の真意とは別として。

  • 7.組織の精神とは

 

 組織の目的とは、凡人をして非凡なことを行わせることにある。(p217)

◆大企業とはこの仕組みをつくった企業だという。確かに、大企業というものにはしっかりとしたマニュアルがある。高校生でもできるマニュアルが。著者は余談でイチローのことについて凡人と非凡について説明している。とても分かりやすい例ではないだろうか。

◆また、組織の四つの役目を心がけてマネジメントすることもドラッカーは強調している。どうやらこの四つの役目は著者が大変重要としていることらしい。とくに、「組織の焦点は、問題ではなく機会に合わせなければならない」というのは、どれだけ世の中に貢献できるかを考えるかがポイントになる。

 

【感想】

◆本書は、ドラッカーの本を読んだ方が、もっと具体的にインプットしたい、そんな方に向いている本だ。もちろん、ドラッカーの本を読んだことがない方にも、ドラッカーの言いたいことを、著者の解釈で理解することが可能だ。何度も強調されているように、とにかくドラッカーは外部の視点を大切にしている。お客さまに満足してもらうことがどんなに大事か。それは、とても当たり前のことだが難しい。なぜなら、お客さまの満足を優先しすぎることで自分たちの首をしめることにつながる可能性があるからだ。

◆著者は、松下幸之助もドラッカーも成功しているものは皆、共通の原理原則を理解しているという。この原理原則を理解している方は多い。しかし、いまだに成功といえる段階に達しない方がいる。なぜか。それは、その知識が知識として完成していないからである。知識は経験をもって完成するのだ。私たちは、原理原則を経験をもって再認識にしなければならないのではないか。

◆細かい説明をだいぶ割愛した。この記事で本書の良さをすべて伝えるのは難しい。ドラッカーの本を20年間以上読んできた著者である。ドラッカーファンもファン以外も今後の人生に役立つ原理原則を学ぶことができる良い機会ではないだろうか。

ドラッカーが『マネジメント』でいちばん伝えたかったこと。

満足度:☆☆☆  付箋数:27

タイトル: ドラッカーが「マネジメント」で一番伝えたかったこと。

著者: 小宮 一慶(こみや かずよし)

出版社: ダイヤモンド社

ページ数: 240

 

【編集後記】

 

あの有名な「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の本はまだ読んだことがない。映画は見たが。あの表紙が物語っているは、あのような絵のほうが「本が売れやすい」という出版社の常識となりつつあることではないか。そのようなこともあり、私は本書のようなオーソドックスな表紙を好む。あくまで、個人的な感想だが。機会があればしっかり読んでみよう。